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OpenPoseを用いたダンス動作の類似度分析

こんにちは、東京大学教養学部2年のShu Qian(ちか)です。

本記事では、自身のダンスパフォーマンスを分析した研究について紹介します。日々の練習で感じる「上達したかどうか」という問いに対し、OpenPoseという姿勢推定技術を活用して、動作の一致度を数値と視覚で“見える化”してみました

研究の背景と目的

ダンスは感覚的な芸術表現でありながら、技術的な習熟も必要とされる分野です。本研究では、自分自身の過去と現在のダンス動画、さらには参照動画(先生など)と比較することで、動作の再現性や改善点を客観的に評価することを目指しました。

使用ツールと分析手法

動作解析には、CMUが提供するOpenPoseを使用しました。動画から18点の骨格キーポイントを抽出し、関節の角度を計算。異なる2つの動画間で、Dynamic Time Warping(DTW)を用いて時間軸のずれを補正しつつ、角度差異を比較しました。

図1:OpenPoseによる骨格抽出の例:神のまにまに(4 月 左 vs 12月右)

図1:OpenPoseによる骨格抽出の例:神のまにまに(4 月 左 vs 12月右)

さらに、以下のステップで分析を進めました:
• 動画のフレーム数やFPSを統一
• キーポイントから関節角度を計算
• 動作の類似度スコアを算出(スコアが1に近いほど一致)
• 差異の可視化(ヒートマップ、クラスタリング等)

分析対象の楽曲と結果概要

3つの楽曲を対象に、異なる撮影時期の自己動画と参照動画との動作の一致度を比較しました。

最も高い一致度を示したのは「久しぶりのリップグロス」で、特に指導を受けた成果が動作の安定性として現れていました。一方、「神のまにまに」では独学での練習や長期間のブランクにより、不一致が多く見られました。

可視化とフィードバック

動作のズレは、次のような手法で視覚化しました。神のまにまに(12月と参考動画)の結果を例とすると:
• 上段左:ジョイントごとの平均角度差(Joint-wise Average Angle Difference)
• 上段右:角度差のヒートマップ(Angle Difference Heatmap)
• 下段左:フレームごとの平均角度差(Frame-wise Average Angle Difference)
• 下段右:フレームのクラスタリング結果(Frame Clustering Based on Angle Differences)

図2 12月「神のまにまに」の自己動画および参照動画との比較

また、OpenCVを用いて骨格を描画し、特にズレの大きいジョイントは赤くハイライト表示するなど、動画上でのフィードバックも工夫しました。

考察と今後の展望

この取り組みを通じて、練習の質や指導の有無、さらには参照動画の品質が、動作の一致度に大きく影響することがわかりました。特に、学習方法に課題がある場合には、動作の再現性に明確な限界が生じることも確認されました。

今後は、リアルタイムでのフィードバック機能やより精度の高い参照動画の活用を目指し、練習効率のさらなる向上を目指していきたいと考えています。

自分の動きを客観的に見つめ直すことは、とても面白く、かつ学びの多い体験でした。皆さんもぜひ、技術の力を借りて、自分の身体表現を“見える化”してみてはいかがでしょうか。

 

スーパーデータサイエンスアワード2024年度秋学期

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